日本人形
[日本人形 : The Nihon Ningyo.]
「京都、島原の高砂太夫 40年前です」
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J・トーマス・シーファー *このページの翻訳文書は、新聞等への寄稿を除き、参考資料としての仮訳です J・トーマス・シーファー
J・トーマス・シーファー大使 2006年2月13日 ロワジールホテルオキナワ 沖縄県那覇市 シーファー大使 どうもありがとうございます。私が沖縄を訪れるのはこれで2度目になりますが、訪問を大変楽しませていただいております。昨日は、水族館を訪れる機会がありましたが、これは世界に誇る施設であり、私がこれまでに見た中で最も素晴らしい水族館でした。 本日ここでお話をさせていただきますのは、私にとって大変光栄なことです。沖縄経済同友会は、沖縄県の実業界に重要な位置を占めています。皆さんの強力なご意見が、米国と沖縄の人々の友好関係の発展に貢献してきました。 日米両国の友好関係は、世界でも例を見ないユニークなものです。対立から生まれたこの関係は、憎み合う敵同士を、繁栄と力を持つ親密な友人に変える自由の力を、端的に表すものとなりました。今から60年前、米国と日本が今日のような関係を享受することができると考えた人はほとんどいなかったでしょう。それが実現したのは、日米両国の社会が、自由の中核的な価値観を共有しているからです。それは、個人に尊厳を与え、個人を尊重し、大衆に希望と機会を与える価値観です。 悲劇的事態が生じたときほど友好関係がありがたい時はありません。昨年夏、ハリケーン・カトリーナとリタに襲われた米国に、日本は手を差し伸べてくださいました。政府、企業、そして個人の各レベルで、日本の皆さんは、災害に襲われた米国の一般市民の窮地に、実に多大な善意をもって対応してくださいました。街頭の募金箱に始まり、私のオフィスへ来て100万ドルを寄付してくださったビジネスマン、そして1人残らず救援活動に寄付をしてくださった国会議員の皆さんまで、日本の人々は何度も、米国民を助けたいという気持ちを示してくださいました。私はこの機会に、沖縄の皆さん、そしてすべての日本国民が示してくださった思いやりに深くお礼を申し上げます。 それでは、ここで、日米の友好関係から生まれた同盟関係についてお話しさせていただきます。この関係は、かつてないほど強いものとなっています。それは、両国の指導者、ブッシュ大統領と小泉総理大臣の親密かつ個人的な友好関係を象徴するものです。父親同士が戦争で敵味方として戦ったこの2人の世界的指導者は、私たちの運命が、日米関係の成功にいや応なく結び付いていることを理解しています。昨年11月に行われたこの両首脳のサミットは、私たちが、この偉大な両国のそれぞれの国益と共通の利益に貢献する同盟の成長と進化のために専心していることを、改めて証明しました。 米国にとって、日米同盟は、米国のアジア外交政策全体の要となっています。この同盟は、太平洋地域における日米両国の安全保障を提供してきました。そして、その安全保障によって、日米両国の経済は、再び戦争による荒廃を体験することなく、繁栄することが可能となっています。 現在、私たちは、その20世紀の同盟を、21世紀の安全保障の課題に対応できるような同盟に変えるための話し合いを行っています。私たちが直面する大きな課題のひとつは、ソビエト連邦の崩壊、そして9月11日同時多発テロの結果として生まれた世界秩序に適応することです。 中国とインドの経済の台頭は、課題と機会の両方を提供するものです。私たちは、この両国が、近隣諸国の平和と安定を脅かすことなく、国際秩序の維持に積極的に貢献することを奨励しなければなりません。同時に、国際社会を構成するすべての国家が、国際テロを防止しなければなりません。テロリストが私たちの間を横行することが許されるならば、今日の文明は消滅してしまいます。私たちの時代の苦悩の種であるテロを打倒するために、私たち全員が力を合わせなければなりません。 しかし、私たちの友好と同盟は、安全保障問題をはるかに超えて広がっています。。私たち両国は、世界の利益に貢献する強大な存在となっています。日米両国の経済は世界最大です。両国は、歴史上の世界のどの2カ国よりも、生産、収入、および援助で勝っています。しかし、両国にとって、お金がすべてではありません。私たちは、津波、地震、ハリケーン、疾病などに、思いやりをもって対応し、こうした自然のもたらす悲劇の渦中にいる人々の苦痛を和らげ、より良い日々への希望をもたらしています。また、抑圧されている人々に民主主義と自由をもたらす制度を支持しています。圧制を行う者は、米国と日本の同盟が彼らにとって強力な敵であることを知っています。 ここ沖縄では、日米両国の防衛のために沖縄の人々が担っている負担のことをよく耳にします。皆さんが、私たち全員のために重い負担を担っていることは事実です。。しかし同時に、私たち両国の防衛と世界平和のために、私たち全員が負担を負っていることもご理解いただけるよう願っております。米国民は、米国の国内総生産の4%弱を国防に費やしています。日本はこの比率が1%未満です。実質額にすると、米国民が防衛に費やしている金額は、日本の10倍以上になります。過去4年間に、米国の防衛支出はほぼ倍増しましたが、日本では防衛支出の実質額が減少しています。この米国の防衛支出増により、米国の軍事能力が向上し、その結果、日米両国間の同盟の能力も向上して、日本の安全保障強化につながります。米国の陸海空軍および海兵隊の兵士たちが日本各地に駐留しており、彼らは母国のため、そして皆さんの国のために軍務につくことを、誇りとし、光栄に思っています。 日本は素晴らしい国であり、彼らは日本での生活を楽しんでいますが、彼らもできることなら米国で家族や友人と過ごすことを望んでいます。。もしそれが可能ならば、米国の納税者にとっても節約になるでしょう。しかし、それは不可能なことです。危険な世界のリスクを無視することはできないからです。ここ沖縄はじめ日本各地における米軍の存在は、平和のために大きな効果を発揮してきました。60年間にわたって日本の平和が保たれてきたのは、仮想敵国が、日本と戦争すれば、米国の総力に立ち向かわなければならないことを知っているからです。この平和と安全保障によって、日本は世界第2位の経済を築くことができ、その経済によって、日本の人々は、ふさわしい尊敬と尊厳を国際社会で回復することができました。 日本の防衛は、沖縄県民にとって重い負担となっています。日本の防衛は、他の日本国民にとっても重い負担となっています。。日本の防衛は、米国民にとっても重い負担となっています。しかし、沖縄県民、日本国民、そして米国民が、そうした負担を担っているのは、それが日本と米国、そして全世界の自由のために不可欠であることを理解しているからです。平和は、必然的なものではありません。私たちは、平和のために毎日努力をしなければならず、また私たち全員がそれぞれの役目を果たさなければなりません。 その上で、私たちは今、今後の安全保障への脅威に対応する能力を損なうことなく、ここに駐留する米軍兵士の数を減らすために、日本との交渉を行っています。。私たちは、沖縄に駐留する海兵隊員の数を削減してほしいという沖縄県民の声に耳を傾けました。そして、海兵隊員7000人をグアムへ移転させることを提案しました。また、地域の開発と、今後の事故の可能性を減らすために、普天間を沖縄に返還してほしいという沖縄県民の声に耳を傾けました。私たちは、代替施設が開設されるその日に普天間から出て行くことを提案しました。このほかにも、私たちがそれぞれの負担を軽減するために力を合わせてできることが多数ありますが、それを達成するには、誠実で協力的な関係の中で力を合わせなければなりません。なすべきことを話し合うだけでなく、実際に行動する準備がなければなりません。、私たちは、友人そして同盟国としての関係にふさわしい態度で、お互いに接するべきです。 ここで、私たちは、地域社会で良き隣人とならなければならない。、ということを付け加えさせていただきます。米国は引き続き、米国の軍人による犯罪行為に対しては、いかなる違反も許さない「ゼロ・トレランス」の目標を徹底させます。米国民が法に違反することは、私たちに深い悲しみを与えます。私たちは、いかなる不法行為者も法の裁きにかけるべく、可能な限りの方法で協力することを誓約いたします。私たちは皆、米国に好意を持ってもらうこと、米国がその理想と価値観ゆえ尊敬されることを願っています。法に違反する個人によって米国の名誉が汚されることを望む米国民はいません。、私たちがここにいるのは、罪のない人たちを守るためであり、そうした人たちを犠牲にするためではありません。 最後に、日米の友好と同盟の将来について考えたいと思います。。。私たちは、この友好関係と同盟が、両国民の精神の最良の部分を反映するものとなることを願っています。 世界には、なすべきことが多々あります。貧困と疾病がまだ残っています。戦争と疫病が、いまだにあまりに多くの場所で発生しています。。私たちは、共に世界の2大経済国を築いてきました。共にアジアの平和を確保してきました。そして、共に希望を持って将来に目を向けています。 世界も沖縄も、60年前に比べて、大きく変化しました。そして、かつてないほど民主的で、繁栄し、自由な、はるかに良い場所となっています。それは偶然の結果ではありません。勇気とビジョンを持った人々の努力によって実現したものです。私たちの任務は、そうした人々の勇気とビジョンに応えることです。そうすれば、今から60年後の米国大使が皆さんのような聴衆を前に、両国の友好関係の価値を称え、その友好関係がより良い世界のために貢献してきたことを強調するであろうと、私は確信しています。 どうもありがとうございました。 問 在日アメリカ軍再編問題について、普天間基地の移設問題で、日米は10月の末にキャンプ・シュワブ沿岸案移設で合意しました。それに対して、稲嶺知事を始め名護市長も、そして周辺市町村、あるい漁民、漁協も反対しております。このキャンプ・シュワブ沿岸案移設について、大使は、この地元の反対を受けて、修正するのが良いというお考えはないでしょうか。 シーファー大使 私たちの10月の合意は、今後の行動に関する大まかな概念的合意であり、その大まかな概念的合意が、キャンプ・シュワブに施設を建設するというものであった、と思います。 私たちは現在、それをどのように実行するかについて、細部の交渉を行っています。沖縄県民、あるいは地元の住民から、この合意を改良するような提案があれば、私たちにはそれに耳を傾ける義務があると思います。 そして、私は、それらの討論と情報交換が終了した後、細部に関して、全員の支持を得られるような合意に達することができる、と期待しています。 問 キャンプ・シュワブへの移設案と嘉手納基地より南の中南部地域の基地の返還、そして、海兵隊7000人の削減について、普天間の移設問題が決着をしなければ、その他の負担軽減は進まないという見方があります。大使も、この問題については、負担軽減とセットで進めるべきもので、普天間の決着が前提になるというようなお考えですか。 シーファー大使 私は、これらはパッケージであると考えており、また私たちの意見の相違は狭まりつつあると考えています。私は、今朝、稲嶺知事とお会いする機会がありましたが、知事は、普天間問題を除けば、DPRI(国防政策見直し協議)合意は、ほぼそのまま受け入れられると思う、と述べられました。それに対して、私は、全員が受け入れることのできる合意に達するために、普天間問題をどのように解決できるかを考えるべきだ、と申し上げました。私は、今後数カ月の間にそうすることが可能だ、と期待しています。 問 先ほどの普天間基地の移設問題ですけども、「耳を傾けるべきだ」とおっしゃいましたが、これは地元に良い案があれば、沿岸案より良いのがあれば検討するという用意があるということでしょうか。それとも、アメリカ側の方から提案をしていくということなのでしょうか。 シーファー大使 交渉は米国と日本政府との間で行われており、私たちは、その交渉で大まかな概念的合意に達しています。そうは言うものの、私たちは常に人々の意見を聞くべきである、と私は考えています。より良い提案があれば、私たちはそれを受け入れるべきです。そして、どのような場合でも、人々の意見に耳を傾けることに害はありませんが、その場合、人々の意見を誠実に聞き、また彼らの主張の仕方に耳を傾けなければなりません。彼らの主張が真摯(しんし)なものであるならば、私たちはそれに耳を傾けなければならないと思います。それは、必ずしも最終的に意見が一致するということではありませんが、私たちには、友人として、また同盟国として、お互いの意見を聞き、お互いの主張する点を理解しようとする義務があると思います。私たちは、この合意の成功を望んでいます。そして、実行可能な合意を求めています。合意のためだけの合意は、誰のためにもなりません。しかし、私たちは、これらの交渉によって、沖縄県、日本、そして米国に非常に良い影響をもたらす結果が得られる、と考えています。そして、私たちは、そのような精神に基づいて、これらの交渉を始めています。 問 大使は先ほどおっしゃられていましたが、最近の国防省の発表で、中国はひとつの脅威国になっておりますけれども、一方では平和的な環境を求めるということであります。中国の脅威をどのような点を脅威と見なしているかをお聞かせください。。また、日中関係の最近の状況をどのように考えていますか。 シーファー大使 私たちは、中国が脅威であると考えるとは言っていないと思います。私たちが言ったのは、中国が平和的に国際社会に統合されることによって、国際社会の安全保障と安定が増すことを望む、ということであると思います。。同時に、私たちは、中国で行われている軍事力増強について懸念しており、そうした軍事力増強が、米国、日本、あるいは私たちの同盟諸国にとって脅威とならないことを確認したいと考えています。 日本と中国の関係についてですが、これは中国と日本の人々が解決しなければならない問題です。しかし、そうは言うものの、私たちは、現在の米国の対中関係が、おそらく米国史上最も良好であることを指摘したいと思います。同時に、米国は日本ともこれまでで最も良好な関係を保っています。そして、米国の対中関係は、対日関係を犠牲にして得たものではありません。逆に、米国の良好な対日関係が、良好な対中関係を可能にしている、と私たちは考えています。そして、現在、中国も日本も米国との良好な関係を保っていますが、日本と中国は相互の関係について多少不安を持っていると思います。国際秩序全体が再定義されつつあることを考えると、それは無理からぬことです。日本と中国は、その再定義された国際秩序の中で、それぞれの占める新たな位置に慣れなければなりません。私は、両国が、意見の相違を解決することができると期待していますが、今しなければならないことがたくさんあることは明らかです。 問 日本政府は沿岸案を決めた後に大幅な修正はしないと言っていますが。、先ほど大使のお話を聞いていますと、日本政府より、より柔軟に修正に対して対応するのかなと思ったのですがどうでしょうか。県外移設を求めていますが、これも考慮の対象になるのでしょうか。あるいは名護市の前市長は沖合いの従来案をより沿岸に近づけた案であれば検討しても良いと言っていますが、そういったものが検討の対象になり得るのか、そこのところをお願いいたします。 シーファー大使 私が申し上げようとしたのは、私たちは日本政府との間で概念的に大まかな合意に達しており。、その合意には、概念的に、普天間をここ沖縄県内で移設する、という条件が含まれている、ということだと思います。これが変わることはないと思います。私が申し上げているのは、この概念的合意の詳細について交渉を行う間に、人々の意見に耳を傾け、より良い案があるかどうかを聞くことに害はない、ということです。最終的に、現在の案がそのまま採用されるかもしれません。しかし、最終的に、より良い案があれば、それを受け入れるべきだということです。 問 再編協議に関する詰めの作業が行われていると思うが、3月末の最終合意の見通しは。 シーファー大使 3月末までに最終報告ができると思います。双方ともそのために懸命に努力をしています。交渉は非常に難しいものであると思います。交渉が簡単であるなら、すでに終了しているはずです。しかし私は、双方ともに、この同盟を変化させる機会があることを認識していると思いますし、今がその機会をとらえる時であると思います。そして、彼らが、それを認識し、真剣に取り組んでいることから、私は3月末までに交渉が終了し、最終報告が得られることを大きく期待しています。 どうもありがとうございました。 2008年
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